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月刊サイクルスポーツではおなじみのフリーライター藤下雅裕氏によるブログ「自転車生活」。
藤下さんの「自転車生活」VOL.435

■最適化で股関節周辺のつまり感を解消しよう

 

腰の詰まり感を解消してくれるのは、WRのRSR、1本3万円近いシートセットバック構造の高級カーボンシートポストです。

8月の黒姫高原るんるん合宿へ参加した2人のフィッティングをしていて、サドルをもう少し後ろに設定した方が股関節の詰まり感を解消できて、お腹の部分に空間ができるポジションを実現できると思いました。

最近、鈴木店長もフィッティングで気にしているのが股関節周りの詰まり感です。

 

パワーを発揮できる腰の位置をキープできると、座骨をサドルへかぶせる姿勢を無理無くできて、太ももの後ろ側の筋肉や、腸腰筋や腹筋や背筋などの体幹の広い範囲の筋肉も動員して、脚を踏み込むパワーを発揮できて、乳酸の発生を抑制できる「全体踏み」のペダリングを実現できます。

必要なパワーより大きなパワーを発揮できる姿勢にできると、無酸素的な運動の比率を少なくできて、乳酸の爆発的な発生を抑制できて、高いスピードをより長くキープできルようになります。

 

ところが2人とも、シートポストのヤグラの設計と、サドルのレールのスライド範囲が一杯一杯で、これ以上後ろへ引けない状態でした。腰の位置が前に出てクランクを前ももの大腿四頭筋主体で踏み込む、明らかな前乗りという状態ではありませんでしたが、固定式のローラー台でペダリングを見ると、股関節の動きに詰まり感があって、ペダリングする脚の動きに上死点でも下死点でも足のスピードが落ちていました。

脚の動きが停滞したのを、ケイデンスを上げるのに脚のスピードを上げようとする動きで、余計な力を使っています。

 

股関節のつまり感は、股関節周りの筋肉が発達している、ベテランライダーでもなかなか気がつかないものです。

上半身の重さも利用して強くクランクを踏み込みたいと、ついつい腰を前へ移動してペダリングしがちです。ダンシングを思い浮かべてください。

腰をサドルから浮かして、腰の位置をハンガーの真上、もしくは前へ移動して、体重を踏み込む脚にかけて、ひと踏みのトルクが大きいペダリングをしています。

これをシッティングの状態でやろうとすると、サドルの前に腰を移動して、体重を乗せて踏み込むペダリングになります。

 

1時間くらいなら、前乗り気味の踏み込むペダリングで高速走行を継続できますが、前乗りのペダリングは、太ももの前側の、パワーがあって耐乳酸性も高い大腿四頭筋にストレスが集中します。

その筋肉が乳酸の発生や乳酸濃度に耐えられる間は元気に走れます。

も、ライダーの耐乳酸性や乳酸除去のレベルを越えて血中乳酸濃度が上昇してしまうと、急激に脚の筋肉を収縮しにくくなって、クランクを踏み込めなくなります。

継続できる時間は筋肉の発達や、耐乳酸性や乳酸除去能力で違いますが、だいたい1時間ぐらいで脚を動かしにくくなります。

 

スピードを落として運動強度を低下させて乳酸の発生を少なくして、血液に乗せて肝臓へ運び出し、血中乳酸濃度を低下させて脚を回復して、踏み込めるようになるには20分ぐらいかかります。

そこで提案したいのが、ペダリングする筋肉の範囲を大きくして、パワーを引き出せて、しかもストレスを分散できる全体踏みのペダリングです。

さらに、ケイデンスを無理なく、なるべく高く保つペダリングです。

毎分あたりのクランク回転数を90回転から120回転に保つと、呼吸数や心拍数は上昇して、苦しく感じるのですが、クランクの1踏みのパワーは同じでも、乳酸の発生を抑えることができるし、筋肉へのダメージを小さくできます。

より長くスピードを保って走るには最適なペダリングです。

 

キープできるぎりぎりスピードの集団走行に参加しているライダーは、体重を利用して大腿四頭筋を主に使ってクランクを踏み込まないと千切れてしまうので、サドルの先端にお尻が突き刺さるような姿勢で走り続けます。

そうなるとサドルを前に移動して腰の位置を支えたくなって、サドルを前に移動します。

ところが,腰の位置を前に出して固定すると、体重をかけて踏み込みやすいのですが、股関節に詰まり感が発生して、ペダリングする脚の停滞が発生します

すると今度は詰まり感に気付いたライダーは、股関節の角度を開いて詰まり感や、脚を真っすぐに伸ばしたいとストレスを感じて、それを解消しようとサドルの高さを上げます。

 

サドルを高く設定することで脚が伸びて,一旦は気持ち良くペダリングできるようになりますが、そこに筋肉や関節や靱帯への負担が増すというワナが待っているのです。

伸び切った脚の膝関節が開いて、下死点を越えて脚が屈曲するのに負担が増し手、膝周辺に痛みが発生することがあります。

バイクライドは平坦コースだけでなく、ダンヒルやコーナーがあります。

しかも疲れた時の上り坂での、カカトが下がった状態の踏み込みもあります。

サドルの高さにゆとりが無いと脚が伸び切ってしまい、腰の位置を移動してペダリングすることができなくなります。

 

ラウンドタイプのシートセットバックを意識したカーボンシートポストもFSAやルックなどにありますが、WRのRSRのような上端までプレーンなチューブのモデルは少ないのです。

ユーザーから後ろへ引きたい要望があることを知っているから製造しているのです。ロードバイクのシートポストのヤグラの設計は、一般的なモデルはサドルを前後へ移動できる幅が、シートポスト径の中心から、0mmから15mm程度後ろへ引ける設計が普通になっています。

WRのRSRは2本ボルト止めのヤグラで、ヤグラを固定する部分が後ろへ延長されて、0mmから35mm後ろへスライドできる構造になっています。

 

フレームサイズがハンガー中心&シートチューブトップで、500mm前後のフレームサイズなら、シートポスト先端での10mmの差は、シートチューブの角度の約1度に相当します。

カーボンフレームのハンガー中心&シートチューブトップのフレームサイズが480mmから550mmサイズくらいの、シートチューブの角度の設計は、75度くらいから74度くらいに集中しています。

15mm後ろへ引けるとして75度のシートチューブなら73度半に設定できます。身長の低いライダーも、180cm近いライダーも、巡航速度で股関節の詰まり感なく心地よく走るには、73度前後のライダーが多いのです。

 

基本はライダーが踏めて回せるペダリングをできる腰の位置を見極めて、その腰をサポートする位置にサドルを移動して固定することが重要です。

目安は毎粉80回転できる,少し重めの負荷でしばらくペダリングして、自然に腰が移動していく位置が重要です。

さらに、上り坂を実際に走ってもらって腰の位置を見極めて、必要ならサドルの位置を微調整します。

その時にシートセットバックのシートポストが必要になることがあるのです。

サドルを前後へ動かすと、ハンガーの中心からサドルの上の面までの距離が変化します。

前に移動すればハンガーまでが近くなるので高くしたり、後ろへ移動すればハンガーまでが遠くなるので低く微調整が必要になります。

ではでは。

 

 

| - | 17:32 | comments(0) | - | - | - |
藤下さんの「自転車生活」VOL.434

■プロメカニックに任せたほうがいいチェーンの接続

 

シマノのチェーンに限ったことではありませんが、変速性能がこれだけ高くなったシステムになっているのに、チェーンのトラブルが発生しています。

チェーン切れのほとんどの原因は、コネクティングピンによる接合作業の不良によるプレートからのピンの抜けのトラブルです。

 

あまり見ないのがねじりん棒のようにチェーンがねじれる現象です。

チェーンが11段になってナロータイプなので、構造的に強度不足なのかな。

 

90年、シマノが手元シフトのインデックス変速になって、ペダリングと変速のタイミングが変化しました。

チェーンの動き始めるきっかけになる位置が、リヤスプロケットの歯先形状にも、チェーンリングのスロープやスパイクピンも設定されて、チェーンのプレートも面取り加工されて、変速性能を高めています。

変速のテクニック的にも変わっています。踏み込むペダリングをしながら変速するようになって、チェーンやスプロケットの歯先にストレスがかかります。特に電動メカのフロント変速は、モーターの力でチェーンケージが押され、チェーンへ斜めに力がかかります。これがチェーンのねじれの原因でしょうね。

 

現在、シマノのチェーンはクイックリンクで専用工具を使ってつなぐ方式と、アンプルタイプコネクティングピンで、チェーン工具で押し込んでつなぐ方法があります。

2種類のパッケージでチェーンが用意されています。パッケージの違いは下の方につなぐリンクの小物(クイックリンク)のイラストが入っているので分かります。

シマノのクイックリンクでつないだり切ったりするには、専用の3つまたのプライヤーが必要です。1度使ったクイックリンクは再利用してはいけません。

 

まずチェーンの長さを決めるには、シマノの指定するアウターギヤ×ローギヤにチェーンをかけて引っぱりながら上下に重ね、チェーンのリンクピンの重なる位置が、上下に並べたチェーンで一致する場合と、リンクピンが少しずれる場合でチェーンを切る長さが違います。

 

一致する場合はプラス1ピン、ずれている場合はプラス3ピン分の長さにするか判断して、チェーンの長さを切ります。

 

クイックリンクの場合は左右インナーリンク、アンプルタイプコネクティングピンの場合はフリー側がインナーリンク、チェーンリング側がアウターリンクになるように切ります。

 

シマノのクイックリンクで接続するので、チェーンを切る場合は、シマノの指定するチェーン工具や方法で決めた長さで、しかも、左右から来るチェーンの末端はインナーリンクになるように切ります

接続するクイックリンクのピンは1ピン分に相当します。何だかもう分からなくなったでしょう。

図やディーラーズマニュアルの作業手順を見ていても少し分かりにくいです。クイックリンクは、チェーンのアウタープレートに1本のピンが付いていて、内外2つのプレートを合わせて、ピンの先をお互いのプレートに開けられている溝に合わせて差し込んで、専用の工具でチェーンを引っ張って、ピンの先端をスライドさせてチェーンを接続できます。

 

アンプルタイプのコネクティングピンで、新品のチェーンを取り付ける場合も、チェーンは表側が刻印のある側になります。チェーンリング側からくるチェーンの末端はアウターリンクにします。シマノの指定するアウターギヤ×ローギヤにチェーンをかけて、指定の方法でチェーンのピンの重なりやズレを確認して長さを決めます。1リンクか3リンクプラスにするか判断して、リヤディレラー側からくるチェーンをインナープレートが末端になるように切ります。

 

チェーンの設定は、フロント変速機のチェーンケージを通し、トップギヤにかけて、上プーリーに通し、プーリーケージの爪やピンの内側に通してから下プーリーへ通して、チェーンの末端のアウターリンクとインナーリンクを重ねて、11段用の先端が尖ったアンプルタイプのコネクティングピンを通します。

チェーン工具の矢の先端をコネクティングピンの中心に合わせて、ハンドルを回して押し込んで行くと、最初に軽く抵抗が発生して、さらに押し込んで行くと一旦スムーズの入り、矢で押しているピンの頭がチェーンのアウタープレートと同一面になる時に、再び抵抗が発生して乗り越し感があります。

 

それ以上押し込む必要はありません。ピンの頭がアウタープレートの面より出っ張りがない状態まで押し込み完了です。

裏側に出っ張ったアンプル部分をチェーン工具矢プライヤーで折って、つないだ部分のチェーンが抵抗なく動けば作業完了です。

抵抗がある場合は左右へこじってスムーズに動くようにします。

でもこのピンの頭の押し込み具合は重要です。

押し込み過ぎても、浅過ぎてもチェーン切れなどのトラブルになるからです。

 

プロはこのシマノのアンプルタイプコネクティングピンの、アウタープレートと同一面までという、微妙な押し込み加減を何度も経験していて、確実な接続をできます。アマチュアなら、押し込み過ぎたり、浅過ぎたり、アウタープレートの表面と同一というのはなかなか加減が難しいものです。チェーン工具があれば誰でもできそうな接続作業ですが、アンプルタイプコネクティングピンを押し込むシマノのチェーンの接続作業は微妙です。

 

カンパニョーロの11段用チェーンは、特殊なセパレートタイプのアンプルタイプピンを使用します。

ピンの末端を、アウタープレートの面から0、1mm出るように矢で押し込んで、ピンにさし込まれている先端を抜き取って、ピンを差し込んだ反対側から、専用の閉鎖機構付きのチェーン工具の矢をピンの先端へ押し当てて、2分の1回転矢を締め込んでピンの末端をかしめるカンパニョーロの11段チェーンのピンでの接合も技と経験が必要で、プロメカニックに任せた方がいいと思います。

チェーン切れや変形やチェーンの動きの重さのトラブルは、インデックス変速性能のうんぬんではなく、本当に命に関わりますから。

ではでは。

| - | 07:46 | comments(0) | - | - | - |