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月刊サイクルスポーツではおなじみのフリーライター藤下雅裕氏によるブログ「自転車生活」。
藤下さんの「自転車生活」VOL.20
■ 人間が自転車に近づく時代は終わったのか?
何の意味だか?、このタイトル分かりませんよね。
自転車パーツとフレームはどんどん人間側へ歩み寄っている流れは止まりそうにありません。
それが長く快適に走れるようになる要素になっています。
それは厳しいレースの世界も、ロングライドを快適に走りたい人達の世界もまったく同じでしょう。
使い勝手の悪さや痛さを我慢して使う時代ではなくなってきていますが、どれを使えばその不具合を解消できるというサイクルショップの専門家からの情報は、とても大切なことですね。
クルマの世界では、クルマの機能やデザインが人間へ歩み寄る時代をしっかり経て、その大陸や国の風土に合わせて淘汰され進化して、今のクルマのベーシックな形になっています。
人間と道具の関係は、人間がシンプルな機械を使いこなすテクニックを身に付けて、機械に歩み寄った時代もあったわけですが、今はアナトミックデザイン(解剖学的)、エルゴノミックデザイン(人間工学的)、動作解析、ロボット工学などなど、機械が人間に歩み寄る時代になっています。

■シンクロシステムがない時代には
クルマの変速がクラッチを切っても、シンクロシステムがない時代は、ギヤボックス内のギヤとギヤが接触する「ギャ〜とかガリガリ」という音を響かせて変速していた時代がありました。
シンクロシステムとは、エンジンから出力を取り出す軸の回転と、車軸からくる軸との回転を、ほぼ同調させるシステムのことで、ギヤボックス(変速装置)の歯車を守ったり、クラッチの滑りによる消耗や軸への負担を軽減させたりする効果が有ります。
つまり、シンクロシステムがない時代は、運転手がアクセルワークでエンジンの回転を整え、車軸の回転数を読み取って、よきところで、よきギヤにシフトノブを動かして、ここに良きドライバーの資質の1つとして変則テクニックが要求されたわけです。ギヤや車軸への負担を少なくする、変速テクニックが駆使されて運転されていたのです。

■ シンクロシステムが開発されて採用された初期の段階では
シンクロシステムは付いているものの、まだまだ同調させる機能は完璧ではなく、1度クラッチを押し込んで軽くクラッチ盤を接触させて、同調のきっかけを作って、2度目のクラッチの踏み込みで、必要なギヤへ素早く変速するダブルクラッチのテクニックが使われていました。
それでもギヤを傷めることは格段に少なくなりました。
そして、シンクロシステムが確立されて、マニュアルシフトはほぼ完璧になりました。どこの運転免許の教習所でもマニュアルシフトの車で教習していました。中でも坂道発進などは運転テクニックの集大成みたいなものでしたね。上り坂の途中で右足で踏んでいたアクセルペダルを放し、ブレーキペダルへ踏み変えて止まります。
同時に左足でクラッチペダルを踏み込んで、右ハンドル車なら左手でシフトレバーをローギヤへ変速します。右足でブレーキペダルを踏んだまま、左手でサイドブレーキを引きます。
どうですか、マニュアルシフトの動きは複雑でしょう。

■クルマが後ろへ下がるのではないかというプレッシャーの中で
しかも、クラッチペダルのゆっくりした踏み込み。
クラッチはクルマによってクラッチの効き始める踏み込みの位置や、駆動トルクがつながったり切れたりする感触が違ったりして、けっこう難しいんですよね。ブレーキペダルはブレーキの効きを感じ取りながら、車体の減速を感じつつブレーキペダルを踏み込む力をコントロールします。
かっくんブレーキにならないように脚が慣れるまでは、イライラのつのる神経系のトレーニングになると言うわけです。ロードレーサーのブレーキレバーの引きに通じるものが有りますね。
一連の動作の順番や力の加減など、オートマチックにできるようになるまでトレーニングすべきなのです。
しかも、初心者運転手にとって、上り坂の途中で止まるという、何もしないと後へ下がってしまうと言うプレッシャーの中で、その動きをオートマチックにするのは、本当にその一連の動きを身に付けてしまうまでは、難しいことなのです。そこに操る人間のテクニックの差が表れるわけです。

■ レースの世界でもオートマチックチェンジに
ストックカーレースの盛んなドイツでは、いち早くクラッチペダルが省略された変速システムでレースを戦っていました。
F1の世界もカーボン製のハンドルには、指先で操作するダウンとアップのシフトレバーがセットされ、思った位置で強烈なGがかかっている最中でも、手先を動かすことで素早く確実に変速できるようになっています。
もちろんクラッチは、レバーに触れた瞬間にセンサーが働き、超高圧の油圧でクラッチやギヤボックスがコントロールされて、クラッチペダルはなくなり、クラッチスイッチの操作なしに変速できるようになっています。
パイロットは最適なギヤを選ぶことや、スピードコントロール、ライン取り、相手との駆け引きに集中できるわけです。
では一般的なクルマはどうなったか、地域性はまだまだ有ります。ヨーロッパ全域ではいまだにマニュアル車が多いですが、旅行者向きのレンタカーはアメリカや日本からの旅行者への対応のためにオートマチックトランスミッション車が増えていますね。
日本もオートマ免許とマニュアル免許の精度になっているくらいで、ほとんどが市街地走行で楽なオートマ、スポーツ走行したいコアな人がマニュアルといった具合です。

■ 人間にメカが歩み寄ること
自転車のパーツはロードレーサーやMTBのスポーツ走行やレーシングパーツとしてメーカーが資金を投じて開発していますが。実は日本のパーツメーカーの主要商品は、世界的には売れているMTBのローレンジ、ロードレーサーのローレンジからミドルレンジも有りますが。コンフォートバイク、純粋スポーツ車のパーツではなく、シティコミューター系のパーツのシェアも大きいのです。イタリアや中国系のパーツメーカーも強力なライバルですし、そのコンポーネントパーツ以外のメーカーも、どんどん新しい提案を込めて製品が開発されています。F1が速く走ることにかけては最先端テクノロジーの塊なはずなのに、逆に市販車に採用されているテクノロジーをどんどん投入して、人間の感性の部分にまでテクノロジーは踏み込んで、速く快適に走ることで、排気量やパワーが低下しているにもかかわらず、異次元の走りを実現していることを考えると、レースの現場で求められ開発されたテクノロジーだけでなく、快適性を追求したテクノロジーが最先端のレーシングパーツへ投入されることも、十分可能性がありそうです。ロードレーサーのパーツも、厳しい走りの中での操作性や快適性が追求されています。ワンバイエス・Jフィットカーボンなどに見られる、ハンドルバーの進化、サドルの進化などもそうですが、どんどんメカニズムが人間に歩み寄っているのを感じます。まだまだ自転車パーツは何か起こりそう。楽しみですね。ではでは。


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