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月刊サイクルスポーツではおなじみのフリーライター藤下雅裕氏によるブログ「自転車生活」。
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藤下さんの「自転車生活」VOL.396

2大コンポーネントメーカーの憂鬱!パート2

 

60年代から70年代、1つ1つのパーツを製造しているメーカーが乱立していました。

たしかに個性的でユニークなデザインや考え方のパーツが、イタリア、アメリカ、フランス、スイス、ドイツ、日本に存在していました。

 

そんなパーツを寄せ集めてパーツアッセンブルして完成車やセミオーダーバイクが組まれていました。

1つのメーカーが主要なパーツを設計デザインして作る

ロード用のバイシクルコンポーネントという考え方を、1960年代中頃に確立したのはイタリアのカンパニョーロでした。

最初はレコードという上級レーシングコンポーネントでした。

 

実質サイドプルのブレーキを含めてコンポーネントが完成するのは60年代の後半になってからです。

鉄レコードと呼ばれている縦型パンタグラフタイプのシングルテンションリヤディレラーに

パンタグラフタイプのフロントディレラーの組み合わせでした。

その前身が1960年のローマオリンピックでグランドデビューしたのが

グランスポーツのパンタグラフタイプのリヤディレラーと

スライドシャフトのフロントディレラーとダウンチューブに取り付ける変速レバーの組み合わせでした。

 

スライドシャフトのディレラーが全盛でしたから革新的な外装変速システムでした。

 

レコードリヤディレラーでは6段フリーに対応できて

13Tトップギヤ、23Tローギヤに対応できるようにキャパシティが大きくなり、バージョンアップしました。

 

そして、ギヤクランク、ハンガー小物、ペダル、締め合わせのヘッド小物、リヤディレラー、フロントディレラー、シフトレバー、ケーブルワイヤーリード、ケーブル、アウターケーブル固定バンドなどがラインナップされました。

 

スクエアテーパードのアルミ鍛造や特殊な溶接の5アームのギヤクランクで

発表当初は最小インナーギヤ歯数44Tの設計でした。

 

後期モデルは最小インナー歯数はスタンダードは42Tで、スペシャルギヤが41Tで用意されていました。

5アームとクランクのアルミ合金の材質が当時から違っていて、製造方法は謎とされていました。

 

カンパニョーロもレコードで、シマノもデュラエースで、バイシクルコンポーネントという方向性は生まれましたが

実質的な関連としてはまだまだ個々のパーツの性能が良ければいいんだ的な段階でのコンポーネントでした。

 

1つ1つのパーツの性能の追求だけでなく、関連するパーツの機能を横並びで再検討して

トータルで性能を高めようとしたのはシマノでした。

もちろん現場でのパーツ開発は、フリー、チェーン、ディレラー、クランク、ペダルなどスペシャリストの担当者がいますが

トータルでコーディネイトするジェネラルのディレクター的存在を設定して、コンポーネントの開発に当たるようになります。

 

そういうトータルでオーガナイズされた現物が

エアロダイナミクスを意識したデザインを採用したデュラエースaXというモデルでした。

トータルデザインを採用したコンポーネントです。

 

風洞実験室まで作って開発したコンポーネントでしたが、実はこのaXシリーズは余り成功したとは言えませんでした。

だけど、近い将来、トップブランドだったカンパニョーロをシェアでもメカニズムの性能でも圧倒する種まきは

このコンポーネントに、思想やメカニズムとして内包されていました。

 

リヤメカに搭載されたインデックス変速システム

ロープロファイル化して足を安定させるダイレクトドライブクランクとペダル

エアロダイナミクスを意識したセンタープルブレーキ、ステムや握りやすさが追求されたaXアルミハンドルバー

単純な性能ではなく、徹底的にトータルコーディネートされたコンポーネントパーツの確立と

バイオメカニクス的な自転車パーツへのアプローチは、今、振り返っても高く評価されるべきと思います。

80年代としては早過ぎたのかもしれません。

エアロデザインと呼ばれる製品も、開発者達の情熱も、もっと再評価されていい製品と思っています。

 

メカニカルのシステムも同時並行的に開発されていますが

電動メカの時代になって、モーターによる強制的な素早いインデックス変速が当然になり

スラムの電動メカ参入ではワイヤレスも登場して、さらにFSAの電動メカの参入ではワイヤレスは当然となりました。

 

新規参入メーカーの動きが影響を与え、現代の巨人のシマノにしても、かつてのリーダーだったカンパニョーロにしても

1大ブランドと1中小ブランドにとって、オンロードコンポーネントの分野で気になる動きをする2メーカーに対して

このままなのか、メカニカルの時代のセオリーからの、思い切ったレボリューションを行い

技術力の差を見せつけるチャンスでもあります。

 

この動きは、発想の転換の起爆剤になる可能性もあります。

組織の判断のスピードなど、大きいがゆえの方向転換の難しさが課題になるでしょう。

何せ電動化されると、家電製品のように毎年アップデートされて

省電力、スピード、パワー、コマンド数、ソフトのアップデートなどなど、

既成概念のない優秀な技術者を抱えた小回りの効くメーカーほど、レーシングだけでなく

扱いやすさなどの快適性の面でも、性能の向上することが日常化して

コンピューターによるシミュレーションや3Dプリンターなど、スピードを増した開発能力を駆使して

驚異的な新製品が誕生する可能性もあります。

 

そして、電動化がどのくらい普及するかの見極めも重要になります。

ボリュームゾーンは明らかにシマノなら105以下のコンポーネントです。

 

そこの価格帯に自転車生活を快適にする性能を落とし込めるのか。

レーシングコンポーネントの段階までは盛り込まれてはいても、スモールライダーのこと

高年齢化するライダーのことを配慮してユーザーを広げ、体格的にも体力的にもターゲットを把握して

広いユーザーの要望を満足させるスペックに仕上げることができるのか。

 

レーシング経験者が開発をリードするのではなく、エンドユーザーが開発のゲージ(基準)になって

行えば電話にカメラを一体化させたような

発想力の豊かな人間が、未来のコンポーネント開発をサゼッションするような形が必要になると思います。

 

スモールライダー向けデザインの導入、操作のユニバーサル化、変速レバースイッチのカスタマイズが可能なはずだし

ライダーのパワーや走り方を解析して、斜度やケイデンスやトルクを感知してAI変速したり。

カスタマイズ・プログラミング変速したり。

チェーンやスプロケットやチェーンリングの消耗具合を感知して交換時期を表示したり。

あらゆることが盛り込まれる可能性があります。

 

多様化への対応と量産によるコストダウン、相反する部分もあります。

 

大きな利益を確保できる部分だけに力を入れるのか、今は浸透する時間がかかっても未来の利益につながる可能性がある

多様性に応えるユーザーフレンドリーな製品作り。

 

どちらを選ぶのか、たくさんのハンコが押された稟議書が飛び交う大きなメーカーが、決断するのに憂鬱になる部分です。

でも、モノ作りの延長線上に、若いライダー達と対等にクマジジイがグループライドを走って楽しめるデバイスとして

「Eバイクコンポ」があってくれていれば嬉しいな

なるべく早く実用化して欲しいというのが個人的な願いです。

ではでは。

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