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月刊サイクルスポーツではおなじみのフリーライター藤下雅裕氏によるブログ「自転車生活」。
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藤下さんの「自転車生活」VOL.407

多少のセールストークは目をつぶろう、でもね!

自転車業界のニッチなホイールの世界に参入している、高精度の機械機加工エンジニアリングメーカー。

はっきり言って完組みホイールの分野は、カンパニョーロ、マヴィック、シマノ、イーストン、フルクラム、ライトウェイトホイールなど、すでに市場は飽和状態です。

 

そこに、民間会社として技術力をアピールする宣伝広告効果を期待するなら少しは理解できますけど

収益を上げるビジネスとして取り組もうというなら

この高価なホイールの普及させるビジネスモデルの成功はかなり難しいので、早々に撤退することになるでしょう。

クルマメーカーの研究チームのスタッフが開発したディスクホイール用のハブがありましたが

エンジニアはハブ本体の素材選びや形状や構造の設計や高精度のCNCマシニング による削り出しで究極まで追求して

もの作りとしては満足していました。

 

けど、空気抵抗などに比べて、担当したハブの回転抵抗の軽減の効果が、シミュレーションでも、実際の走行データの改善でも

ドイツ製の最高のベアリングを採用して、時間と経費をかけたのに、あまりに効果が小さいことにがっかりしていました。

プロジェクトリーダーは冷静で、チャレンジカーのトータルの抵抗を解析して、転がり抵抗と空気抵抗と

内燃機関を稼働させるコースのポイントの解析に絞ってスタッフのマンパワーを注力する方針を

究極のハブを開発したエンジニアに伝えて来たそうです。

 

サーキットの路面に接地しているタイヤの方が、ベアリングの回転抵抗より

もっと大きい転がり抵抗の軽減の要素であることに気付き、20インチ径の太い超低圧のラテックスチューブを組み合わせた

スリックタイヤの開発に取り組んでいました。

他業種から、精密加工技術や回転部分のノウハウを生かして、自転車の完組みホイールに参入したメーカーなわけですが

ニッチな世界で売り上げを確保するのが難しいことは見えていたはず。

 

高価な完組みホイールなら、なおのこと間口を絞ってしまうことになり、ビジネスを困難にすることは必至です。

このプロジェクトを継続するには、民間企業ですから投資対効果の業績作りが

この自転車のホイールのプロジェクトへ早急に求められているのか?

 

焦っている気がします。

カタログやホームページに開示されている、他社ホイールとの製品の性能の比較データや、コメントの信憑性に疑問が湧きました。

 

ホイールの駆動抵抗の性能の違いを、ワット数による違いで表していました。

 

でも、冷静になって考えて見てください。

パワー測定クランクなどを採用しているライダーなら、すぐにお分かりと思いますが

数ワット駆動パワーが変わることは、体感できるほどの差ということです。

 

ホイールの踏み味の差は、リムやスポーク本数やテンション、スポークフォーメーションによるホイールの剛性の違い

タイヤのしなやかさや空気圧の差による変形量の違い、ホイール外周に近いリムやタイヤの重さの差

ほとんど関係ないけど回転抵抗の差など違いで発生します。

ベアリングの回転抵抗にしても、ホイールの転がり抵抗の測定データにしても

多少のことはセールストークとして目をつぶろうと思いました。

 

だけどライダーがはっきり体感できるほどの、ワット数が違う差が発生するとは。

 

モーターを組み付けて駆動しているわけではないのだから

そんなに大きな差が高性能ホイール同士を比較して発生するものでしょうか?。

 

セールストーク的な、信憑性の低いデータの公表や、神話的なユーザーの物語もあって

ユーザーが信じて好きで選んでいるのだから、都市伝説として見て見ぬ振りをしていました。

でもね、あまりに測定データが怪し過ぎます。

 

レーシングクリンチャータイヤと、レーシングチューブラータイヤを装着したホイールを比較したデータとして

数ワットも違うとか、自社のホイールにタイヤを乗せたら

タイヤの構造による転がり抵抗の差が逆転するかのようなデータの公表は、明らかに誤解を生むとしか思えません。

 

クリンチャータイヤは構造上、グリップ力はハイグリップのトレッドゴムを、変形し難いタイヤで路面へ押し付けるので

スムーズな路面では高いグリップ力を、トレッドゴムの変形する範囲で実現できます。

でも、スムーズなドラムだけで転がして転がり抵抗を測定していたら

こういうのって現実の走行条件と、かけ離れたデータ取りになるでしょう。

 

それで走りの参考になるんですかね。プロチームがクリンチャーホイールを使うとすれば

それはスポンサーの意向の関係でしょう。

 

そういう時代もつい最近までありました。

でも、現在主流になっている決戦ホイールはチューブラータイヤとチューブラーリム仕様のホイールです。

 

ハイテンションに耐える化学繊維コードのタイヤカバーと、しなやかなラテックスチューブを組み合わせた

しなやかなタイヤで路面への追従性が高く、転がり抵抗も小さく、路面が荒れてもグリップ力の変化が少なく

ショック吸収性も高い、決戦チューブラータイヤの組み合わせです。

チューブラータイヤをリムに接着して固定する

面倒なメンテナンス作業が増えますが、プロチームに選ばれる合理的な理由があります。

リムの構造を考えてみてください。

 

チューブラー用のリムを輪切りにすると断面が大きくホイールの剛性が高くなります。

クリンチャーリムはクリンチャータイヤのビード部分をはめ込み、チューブを入れる溝のような構造になるので

リムの強度や剛性を発揮する中空部分の断面が小さくなります。

 

リムの構造の違いで、同じリムの重量でも縦剛性も横剛性もクリンチャータイヤの方が低くなります。

最新の完組みホイールは、クリンチャータイヤ仕様も、チューブラータイヤ仕様も、同じモデルなら

タイヤの構造が違っていても重量がそろっていて、重量差による踏み出しの軽さなど

クリンチャータイヤ仕様のホイールも進化しているかのように思えます。

 

ところが、モデル名が同じでも、ライダーが乗ってはっきり分かるほど

クリンチャーホイールの方の剛性が低くなリパワーロスします。

 

もし、同じような横剛性やホイールとしての強度を同等に確保するなら、クリンチャーリムは重量が増しているか

リム幅を広いデザインに変えているはずです。

一般的な決戦モデルのチューブラータイヤは、23mmの太さの250gから、25mmの太さの280gのモデルです。

 

ショック吸収性がすぐれ、接地面積が横方向へ広がって転がり抵抗も軽減して

コーナーでバイクを倒し込んだときのグリップ力が増す、25mmがプロチームに選ばれるようになっています。

 

タイヤコードはポリエステル系の化学繊維やケブラーの細いコードが採用されて

細くても高圧に耐えられるしなやかなタイヤケーシングを実現しています。

1インチ(2、54cm)当たりの2層になったコードの本数は320本、320TPIのモデルが決戦タイヤに採用されています。

クリンチャータイヤも同じ320TPIのコードの本数でも

クリンチャータイヤはタイヤケーシングやタイヤビードを構成するのに、コードを結束させるゴムの量が多いので

どうしてもタイヤが重く、タイヤ全体が硬くなる傾向があります。

さらに、クリンチャータイヤの発想は、タイヤサイドの変形量を抑えて、敗グリップコンパウンド採用のトレッドゴムを

路面へ押し付けて高いグリップ力を発揮する基本設計で、硬いブチルチューブが組み合わされているので

タイヤとして変形しにくくなります。

 

科学的なフェアなデータの公表や表示なら良いのですが、他社の製品を比較してデータを発表している以上

そのデータの計測方法や数値は少なくともフェアであるべきだと思いませんか。

 

もうこのハブ&ホイールメーカーの製品も広告もカタログもホームページも、そしてエンジニアも信頼できなくなりました。

まるでモーターをホイールに仕込んだような差がある、どうみてもおかしなデータを

もっともらしく消費者に提示するやり方はどうなのかな〜。

 

気が付くユーザーは大勢いると思うけど。

 

拡販したい営業サイドと、もの作りを追求するエンジニアの思いに落差があるのかな。

エンジニアもホイール単体でなく、フレームとの組み合わせとか

ライダーのペダリングによるホイールへの力のかかり方、ダンシングやシッティングの違い

路面のスムーズさの違いも含めてテストしてデータ解析すべきと思います。

 

既存のパーツメーカーをリスペクトして、ホイールに要求される強度や構造を学んで

パーツの設計から見直した方がいいんじゃないかな。

スポーツバイクに必要な要素を無視したのか、単眼的な試験結果をベースにしていて

ハブのフランジの間隔や径や左右のスポークテンションなどの重要度が分かっていないとしか思えない

メーカーのコメントがいっぱいです。

 

150ワットから700ワットを1時間発揮するライダー、時速25kmから55kmくらいのロードバイクの走りを想定した

一般的なローリングレジスタンスの測定方法から逸脱していたり

比較対象があまりにも差があるA社やB社の製品を例に挙げていたとしたら、それはどうかな〜と思うのです。

 

ではでは。

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