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月刊サイクルスポーツではおなじみのフリーライター藤下雅裕氏によるブログ「自転車生活」。
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藤下さんの「自転車生活」VOL.429
  • ブリヂストン・アンカーのビジョンが見えてこない!

 

ブリヂストンと言えばフィンランドのノキアンや、アメリカのファイヤーストーンなどのタイヤブランドも傘下に置く、世界がマーケットの巨大タイヤメーカーです。ブリヂストンサイクルは系列会社ですが、歴代の社長はタイヤからやってきて、その度にビジネスやスポンサードやレース活動などの方針が微妙に変化するわけです。一般車やスポーツサイクルの日本のブランドとして、ミヤタとパナソニック、ブリヂストンサイクルが生き残っています。

 

 

ブリヂストンは、一般車でも大きなシェアと販売店網を持っていて、日本の市場では信頼のブランドとして人気があります。ブリヂストンサイクルには、一般車向けのブリヂストンブランドと、スポーツバイクブランドのアンカーの2ラインがあります。だけど、なんでスポーツ車だけ別ブランドという戦略を取ったのかは分かりません。他分野でもトヨタのレクサスとか、他企業とのコラボレーションブランド設立とか、そういう特別なブランド作りが流行っていたのかな。

 

ブリヂストンの一般車に乗ったことありますか、剛性感、安定性、ショック吸収性、選ばれているパーツの確かさ、全体のバランスが優れています。しかもパーツ1つに至るまで、品管のハードルの高さは有名です。電動アシスト自転車を試乗すると、はっきりブリヂストンの電動アシストバイクの性能が他を圧倒していました。スポーツ系のMTBルック、3人乗りのママチャリ、どちらも乗りやすく、MTB ルックはきびきび走れるし、ママチャリは子供を2人乗せて走ってもコントロールしやすいバイクでした。

 

ブルヂストンの開発スタッフは、バイクに要求される要素をしっかり配慮した、フレームの設計力の違いを、電動アシストバイクでも感じました。いろいろ同じコースで試乗しましたが、ペダリングを穏やかにアシストしてくれるし、低速でも安定感があってコントロールのしやすく、ブレーキングによるスピードコントロール性能など、技術力の高さを感じました。上尾に本社を移し、スポーツバイクは塗装部門と一部の組み立て部門と、スチールフレームの製作ラインを残して、中国の工場に生産の拠点を移しました。

 

当然、中国の生産拠点からの輸入品となれば、品質管理が重要な行程になります。ショップスタッフは知っています。箱組みでもっとも簡単なのが台湾ブランドのバイクで、バーテープまで巻いてあって、ドロップハンドルを戻すだけで組み上げるというほどの9分組みです。でも、プロメカニックとしては、オーナーの安全や操作しやすさのクオリティを保つために、主要部分やブラケット位置、ブレーキレバーの ストローク調整などの、組み直しも視野に入れての作業になります。

 

アンカーのバイクは、そこまで組み上げて箱に詰められてはいませんが、入荷した箱組みバイクを確実に作業できます。台座の高精度の仕上げ、寸法間違いやフレームのヘコミや塗装の傷がないこと、同梱部品の不足もありません。日本ブランドらしいクオリティが守られています。スポーツバイクのブームといっても、ブリヂストンサイクのスポーツバイクの販売数や売り上げ、純利益は、ブルヂストンサイクル全体の何パーセントを占めているのでしょう。かなり厳しい数字になると思います。

 

同社のTVCMは、一般車部門の製品が主に行われているところを見ると、電動アシストサイクルなどの一般車で当てれば、業績アップが大きいことを示しています。ちなみにブリヂストン関連事業の総合的なアピール度を高めるために製作されたTVCMでは、スポーツバイクやモータースポーツ、ゴルフなどのシーンがフューチャーされていました。ブリヂストンはタイヤメーカーというだけでなく、ゴルフ用品、自転車製造部門なども事業形態に入っているわけです。

 

 

ではブリヂストンサイクルのスポーツ車部門のアンカーは、今までどんな存在だったのでしょう。一般車の仕入れと、スポーツ車の仕入れの契約は別ルートで、スポーツバイクを取り扱うショップは、アンカーとの契約を結ぶことになります。ブリヂストンサイクルの自転車競技チームは、いわゆる実業団自転車競技チームとしてスタートしています。オリンピック選手や全日本チャンピオンを排出しています。

 

 

UCIの自転車競技選手のカテゴライズドが変わって、オリンピックにもプロ選手が出場できるようになります。日本の自転車競技団体も国際的なルールの流れに沿って、チーム名が会社名みたいな実業団チームが、プロ化したというのか、プロアマのくっきりした境目がなくなりました。どの実業団チームも明確なビジョンや存在意義を見直すチャンスでした。グローバルな活動を目指すのか、ドメスティックな活動に留まるのか。

 

ブリヂストンサイクルのアンカーチームは、そんな流れの中で立ち上がりました。海外でのチーム単位のレース活動も試みていますが、海外でレース活動してはいても、一体このチームは近い将来何をしたいのかのビジョンを感じられません。スポーツバイクの国内販売のための、販売促進コンテンツの一つに甘んじているのではないでしょうか。年間活動予算を例年通り確保して、今年もヨーロッパや日本で走れればいい的な、実業団チームの雰囲気を残したままで、ブリヂストンのブランドを背負い、世間にアピールするためのチームとしての自覚がない感じです。

 

選手個人では色々考えがあっても、チームとして大きなビジョンを描いて動いて欲しいな。例えば、5年後にツールやジロやベルタに参加できるチームを目指すチーム作りをして。メインスポンサーはブリヂストンタイヤ、ウエアスポンサーはブルヂストンスポーツ、マテリアルスポンサーはブリヂストンサイクル、海外移動のスポンサーエアーを付けたり、サポートカーや機材車のスポンサーを募り、サプリメント系のスポンサーを獲得して、海外と日本とのレース活動を行うプロチームになって欲しいですね。そうなったら、クルマのタイヤはブリヂストン、愛用のバイクはチームが使っている最上級モデルにしてサポートします。

 

ブリヂストンサイクルの枠をはみ出すことになります。それでもブリヂストンのブランドからすれば、十分にかなえられる範疇の話しです。今は、それらをビジョンとして描き、一緒に汗を流してくれる広告代理店やメディアとコンタクトすることから始めるべきでしょう。ブリヂストン関連やスポンサーの可能性があるところに、ビジネス活動や企業イメージ戦略としての国内外のレース活動の意義や関連付け、メリットをアピールしたり、マネージメントと選手強化やスカウティングするスタッフを、コーディネートできるマネージメント能力のあるヘッドスタッフの獲得が必要です。

 

 

ツールドフランスへのチームとしての出場を狙っているのか、全日本選手権優勝狙いか、単なる経験を積ませての選手強化なのか、なにがブリヂストン・アンカーチームの目的なのか、明確なビジョンは今のままでは見えてきません。2ブランドがブリヂストンのイメージ作りにいいことだったのかも、今だに疑問です。そろそろ東松山に拠点を置いているエキップアサダの代表の浅田顕クンが、日本選手の2020への強化だけでなく、ブリヂストン関連企業を巻き込んで、ヨーロッパやアメリカやオセアニアやアジアでのレース活動を通じて、ブリヂストンブランドのイメージを浸透させるべく、チームマネージメントの手腕を発揮すべき時でしょう。ではでは。

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